琉球開闢神話では、天の神より琉球の國づくりを命じられた女神アマミキヨが、 海の彼方にある神々のすむ理想郷ニライカナイから久高島へと降り立ち、琉球の島々をつくったといわれています。
その本島への最初の一歩をしるした地が、潮の満ち引きで姿をあらわす石碑「ヤハラヅカサ」と伝えられています。
琉球の島をつくったアマミキヨは、そこに7つの森と9つの聖地をつくったと語り継がれ、そしてその聖地のうち7つは「琉球開闢七御嶽」といわれ、今もなお大切な祈りの場となっています。
琉球開闢七御嶽のなかでも斎場御嶽は、琉球全土の神女の頂点である最高神女「聞得大君」の就任儀式である御新下りがとりおこなわれた格式高い御嶽として、琉球王国最高の聖地とされてきました。
この聖なる儀礼により琉球の守護神の加護を得て霊力を身に宿し、ニライカナイから昇る太陽を遥拝する斎場御嶽で、おなり神「聞得大君」となったのです。
古来より琉球では女性の霊力が強いとされ、神事を司るのも女性の役割でした。
そのため妹が兄を守り神のごとく守護すると考える「おなり神」信仰というものがあり、聞得大君の役職には琉球国王の姉妹や王妃、王族の女性が任命されてきました。
国王の「おなり神」となった聞得大君は、国王と琉球王国を霊的に守護する存在として自然の恵みに感謝を捧げ、そして琉球王国の繁栄を祈り続けたのです。